アメリカで感じた日本のすばらしさ 2年 阿部倫己 「うまい。本当にうまい。」 帰国直後に入ったレストランで食べたみそ汁の味。13年間生きてきて,これほどみそ汁が美味しいと感じたことはありませんでした。 中1の夏,私はアメリカのコロラド州で一ヶ月間ホームスティをしてきました。自由の国アメリカ,夢を叶える国アメリカ。私は大きな夢と希望をもって,アメリカに旅立ちました。しかし,すぐに私は言葉の壁にぶち当たってしまいました。ホストファミリーが震災を心配して気遣ってくれた言葉の中で,唯一「津波」という言葉から,おおよその内容は理解できました。英語ということだけで頭の中が真っ白になり,何も言えませんでした。しかし,そうしてばかりもいられません。 一ヶ月間,アメリカで過ごさなければならないので,必死にその場の状況に合わせて考えたり,相手が何を伝えようとしているのかを観察し,想像するよう心がけました。すると,わからなかった英語が何となくわかる英語に変わりました。まるで赤ちゃんが,少しずつ伝わるということに喜びを感じるようになりました。本当に嬉しかったです。 私たち日本人は,外国語でのコミュニケーション以外のことは完璧にできなくても「できる」ということが多いのに,外国語でのコミュニケーションになると,完璧主義者のように失敗や間違いを恐れて,心も口も閉ざしてしまっているのではないでしょうか。 しかし,ホストファミリーは違いました。ホストファミリーは臆することなく,知っている日本語を得意気にどんどん私に伝え,コミュニケーションすることを心から楽しんでいました。そんなホストファミリーの姿を見て,私も失敗や間違いを恐れず,わかりたい,わかってほしいという気持ちが少しずつ強くなってきました。完璧な英語でなければコミュニケーションできないという「言葉の壁」を乗り越える一番の近道は,「相手に伝えたいという心を強く持つこと」だと実感しました。 また,日本のモノ作りの技術やアイディア,さらに日本のサブカルチャーは,アメリカだけでなく,世界中に広がっていると感じました。私は,ホストファミリーへのお土産に「芯がとがり続けるシャーペン」と「細かい行のノートでも自由に選べて消せる消しゴム」を持って行きました。すると,ホストファミリーはとても喜んでくれて,毎日のように使ってくれました。また,休日には地下室にあるホームシアターで,ジブリ作品の映画を何本も見せてくれました。ホストファミリーは,日本に行って宮崎駿監督に会うのが夢だと話していました。テレビでも,ポケモンなどの日本のアニメが放映されていて,私は改めて日本ってすごいなあと感じました。日本には世界に誇る発想力と技術力があることを改めて実感することができました。 これからの国際会社会の中で,日本がさらに輝くためには,日本の高い技術やアイディア,サブカルチャーにもっと付加価値をつけ,アピールしていくことだと思います。そのためには,やはりコミュニケーションの手段としての英語は必要不可欠です。しかし,完璧な英語ではなくても,相手に伝えたい,理解してほしいという気持ちを強くもって,積極的にコミュニケーションすることが重要だと思います。 私はアメリカでの一ヶ月間のホームスティを体験して大きく変わったことがあります。日本で生活していると当たり前で,何気なく私たちの周りに普通にあるものが,どれだけ幸せで大切なものだったのかを知ったことです。アメリカから見た日本は,本当にすばらしく,魅力ある国でした。私は日本人であることを心から誇りに思います。そして,将来は日本のすばらしさを世界にアピールできるような仕事に就きたいと思っています。 |