閉校記念式典 あいさつ

 清新の丘にも,秋の気配が漂い,周囲の木々も色づいて来た今日このごろ,秋田県議会議員小松隆明様,同じく原幸子様並びに秋田県教育庁南教育事務所長吉川正一様,大仙市議会議長鎌田正様をはじめとする,多数のご来賓の皆様をお迎えし,大仙市立西仙北東中学校閉校記念式典が挙行されますことをまずもって喜ぶとともに,感謝申し上げます。

 本校は平成6年に土川中学校と刈和野中学校が統合し校名を西仙北町立東中学校とし,平成17年には市町村統合により大仙市立西仙北東中学校に校名を変え,今年で18年目となりました。

 今年度,本校は学校教育目標を「学び合い 支え合い 高め合い」とし,求める生徒像を「学び続ける生徒」「豊かさを求める生徒」「自己表現できる生徒」とし,本日まで活動を続けて参りました。
 「自己表現できる生徒」では,今年度生徒会執行部を中心に毎週水曜日の朝に全校集会を行っております。これは,毎回学級1名の代表が全校生徒の前でそのときのテーマに沿ってスピーチを行い,その後,校歌を歌って終わるというものです。

 生徒集会は,18年間の歴史の中で本校にとっては非常に大きな活動の一つでした。平成6年,福祉の町西仙北町をめざし,「一人の不幸も見逃さない」という社会福祉協議会のスローガンに生徒会が呼応し,「ひまわりの里作り」「ボランティア活動」「プ
ルタブ集め」の三本の柱を核とした活動が大変活発に行われていました。この背景には,平成7・8年に文部省と秋田県教育委員会指定の道徳教育研究指定校を受けたことがありました。
 平成9年11月26日には秋田県人権擁護委員大会で本校の生徒が生徒集会を重ねた「いじめ追放」の実践発表を行いました。この内容は,現在も引き継がれ,論語を書いた孔子の衛霊公(えいれいこう)にある「己の欲せざるところは人に施す事なかれ」を「いじめ追放の合い言葉」としました。更に,学級五箇条の除幕式など,創立当時から生徒会活動の活性化においては大曲仙北をリードする学校でありました。
 平成15年には「いじめ追放」から「いじめ撲滅集会」とし,いじめを追いやるだけではなく,私たちの学校からいじめを無くしていこうという姿勢で集会が行われました。本日「語る会」で放映されます創立10周年記念ビデオには,当時の生徒たちのいじめに対する真剣な心の叫びが残されています。

 「豊かさを求める生徒」では,「疑問に思った事はまず自分から他の人に聞く」という姿勢を求めました。これは,本県の今年度の「問いを発する生徒」と奇しくも同じでありました。また,地域との関わりを大事にしていく,地域とともに発展する学校が自分たち自身を豊かにしてくれるという考えの下に,職場体験,サマーボランティア,清新祭での高齢者招待,そして吹奏楽部による心像まつりへの参加等,常に学校が地域と一緒に活動しています。この地域活動も,本校歴史の中で創立当時から行われていました。それまでの地域訪問を平成8年に「おじゃましマンモス」と名付け,お年寄り宅を訪問する活動としました。それに加えて「年賀状大作戦」なども行われました。これらの伝統が今も続き,福祉の心が本校の生徒に醸成されています。

 本校の特色の一つに「世界一のひまわり」があります。今年は東日本大震災が起こり,例年より一ヶ月も早い開花となりました。このひまわりは,「ひまわりの里作り」から脈々と続き,秋田子どもドリーム事業で平成11年9月9日に完成しました。東中学校を秋田県内に明確に位置づける代名詞として「東中ここにあり,ふるさと発21世紀へ」を掲げました。今年のひまわりには,「東中」の文字の下に「がんばろう東北」が付いています。被災地の皆さんが元気になるために,まず自分たちががんばろう,という気持ちを込めてです。
 また地域連携の一つとして,創立当時から続いている活動に「大いなる秋田」の全校合唱があります。これは,本日も地域・OBの方々の応援をいただいております。「大いなる秋田」は秋田県が明治百年を記念して,本校校歌の作曲者である石井歓先生に依頼し,昭和43年に作曲された混声四部合唱と吹奏楽のための楽曲です。石井歓先生がご存命であれば,本日,校歌と「大いなる秋田」を先生の前で高らかに歌っていたと思います。

 「学び続ける生徒」では,「学び合い」の授業を行い,より質の高い授業を目指しています。
 本校授業研究の歴史をひもといてみますと,平成11年に「学校の情報化推進のためのネットワーク活用方法研究開発事業」並びに「学校ネットワーク活用方法研究開発事業」の文部省指定校になりました。研究授業を行った後の協議会で「『コンピュータをうまく生かして授業の質を高め生徒が生き生きと活動している』ことに拍手を送りたい」と評価されました。本校は,郡内のコンピュータ教育推進のリーダー的役目を担ってきました。

 校訓「清新 友和 修錬」を掲げ,18年間邁進してきた本校の生徒活動の栄光の軌跡は,本日皆さんが手にしているしおりの中に記載されています。これらの栄光は,すべてこの清新の丘で生まれました。18年間の歴史からほんの少しだけ部活動の栄光を紹介します。
 野球部は,刈和野中,土川中からの伝統をそのまま引き継ぎ,数々の栄光に輝きました。郡市大会で春は二回,夏は六回の優勝をしています。県大会では,平成九年春に初優勝を遂げました。また夏の県大会では,六回のうち三位が三回,ベスト八が三回とすべて初戦を突破しています。平成九年の選手田村彰啓さんは,秋田商業高校に進み甲子園に出場し,その後当時の広島東洋カープに入団しました。プロ野球選手が本校から誕生したのです。今年も,郡選抜に本校から一名選抜され,静岡県での全国大会に出場してきました。
 バレーボール部は,郡市大会で春優勝が一回,夏優勝が二回,特に平成20年には,夏の県大会で準優勝し,東北大会出場を果たしました。常に,上位進出を果たし,他校から恐れられる存在となっています。今年も郡選抜に一人選ばれました。
 男子バスケットボール部は,郡市大会で平成六年春に三位,平成九年の新人戦で準優勝,その他,協和招待,平和招待,本校招待試合で数々の優勝を果たしました。今年もあと少しのところでした。今年は郡選抜に一人選ばれました。
 男子ソフトテニス部は平成12年で部の歴史を閉じました。男子バドミントン部を平成13年に作ったからです。男子ソフトテニス部は平成8年の郡市春季で個人2位,平成9年の郡市春季では,個人ベスト16まで進んでいます。
 女子ソフトテニス部は,刈和野中学校時代からの伝統を引き継ぐ強豪チームで,平成6年に,団体で郡市春夏準優勝,県の春でも準優勝しました。平成7年には,郡市の夏に団体準優勝,県大会で団体準優勝,個人が優勝をとげ,その個人は東北大会3位の成績を収めています。平成8年には全日本大会に参加しています。その後も個人では,県大会に毎年のように出場しました。ここ何年間は,部員数も伸び悩み今年は昨年の新人戦から二年生六名で奮闘しています。
 創立四年目の平成9年に,当時の西仙北町からバドミントン部の新設を要請されました。そこで翌年の平成10年には男子ソフトテニス部の募集を停止し,その年にバドミントン部をつくりました。発足時は,二年女子一名,一年男子九名,女子三名の計十三名でスタートしました。創部二年目の郡市新人戦から男女団体優勝,県でも男女団体アベック優勝をとげております。県大会では,男子団体が優勝十回,女子団体が優勝四回で,特に平成十六年には,女子団体が東北大会三位で全国までコマを進めました。シングルス,ダブルスの個人の部でも毎年きら星のごとく優秀な成績を収めています。今年は,新潟県で開催されたジュニアオリンピックに男女各一名が出場しました。
 吹奏楽部は,吹奏楽コンクール県大会進出が五回,子ども音楽コンクール東北大会が一回,そして平成十年には東北マーチングフェスティバルで銀賞を受賞しました。三年前から定期演奏会も開催され,地元とともに歩む吹奏楽部となっています。
 科学部は,大曲仙北理科研究発表会への参加が主な活動ですが,これまで県大会進出の最優秀賞が七回ありました。特に平成八年,九年には,連続し日本学生科学賞県審査で最優秀賞で表彰されました。平成九年には,全日本学生科学賞環境長官賞も受賞しました。
 パソコン部は,創立当時ワープロ部でしたが,IT関係の進歩で現在はパソコン部となっています。日常活動で大会等はありませんが,秋田県統計グラフコンクール全国大会に二度出品・審査されています。科学部とともに,男子部員は応援団としての活動もしており本校の起爆剤的役目を担ってくれています。
特設駅伝部では,田沢湖駅伝で男子が昨年五位入賞で県大会二度目の出場を果たしました。女子は,平成十五年に三位となり県大会に進出しております。
 平成八年から本校グラウンドが四種公認陸上競技場になり郡市陸上競技大会が開催されています。この大会でも本校生徒は数々の記録を打ち立て,県大会,東北大会に進出しております。
 この他にも,水泳や柔道での活躍,作文コンクール,絵画コンテスト,英語暗唱弁論大会などで全国での受賞を得たものもあります。

  創立以来1314名の卒業生が巣立っていきました。大仙市立西仙北東中学校は,第18期生55名の卒業生とともに,その歴史に幕を下ろします。しかしながら,来年度開校される西仙北中学校には,本校で培われた「学び合い 支え合い 高め合い」の精神,そして校訓「清新 友和 修錬〜清新の丘の新風となれ〜」の校風が引き継がれ,地域とともに歩む学校になることを信じております。今日まで,本校を支えて下さった卒業生並びに,地域の皆様,保護者の皆様,教職員の皆様にたくさんの「ありがとうございました」の御礼を申し上げ,閉校記念のあいさつといたします。

平成23年10月30日 大仙市立西仙北東中学校 校長 佐藤 心一